第11話(前編)少しずつ回復してきた今

第11話前編 少しずつ回復してきた今

失った老後資金と向き合う現実

詐欺被害から、まもなく3年が経過します。

過ぎてしまえば、早いものだと感じます。

では――
あの時と今で、何か変わったのか。

正直に言えば、
簡単に割り切れるものではありませんでした。

被害に気づいた直後。

弁護士とのやり取り、返金への期待、
警察への被害届。

あの頃は、ただ必死でした。

でも――
本当に苦しかったのは、その後だったのかもしれません。

失った金額の大きさ。
そして、「本当になくなった」という現実。

それを受け入れることが、できませんでした。

1週間だったのか、1か月だったのか。
時間の感覚すら、曖昧です。

ふと口座を見て、
残った金額を確認したとき、

じわじわと、不安が押し寄せてきました。

これは老後資金だった。

そう思った瞬間から、
現実の重さが、のしかかってきました。

手元にあった定期預金。

10年満期で、約200万円。
これを解約しました。

満期前の解約だったため、
戻ってきた金額は、それを下回っていました。

それでも、
少しでも手元にお金を残したい。

そう思うしかありませんでした。

本来なら、
私はその年にリタイアする予定でした。

けれど――
やめるわけにはいかなくなりました。

仕事は続けるしかない。

少しでも貯蓄を増やすために。

そして今も、働いています。

幸いにも契約は延長され、
「とりあえず1年」

そう自分に言い聞かせながら、日々を過ごしています。

できる限り年金には手をつけず、
貯蓄に回す。

そんな生活を続けています。

大きく取り戻すことはできない。

でも――
少しずつでも、戻していくしかない。

そう思いながら。

第11話(前編)終わり
後編へ続く

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