※本記事は実際に私が経験した投資詐欺の記録です。被害防止のために公開しています。
彼女は、よく自分の家族の話をしてくれた。
香港での生活。
母親との関係。
そして、これからの将来のこと。
特に印象に残っているのは、
「母と一緒に暮らしたいんです」
という言葉だった。
仕事が忙しく、なかなか時間が取れないこと。
それでも、いつか母親を大切にしたいと思っていること。
その話は、とても自然で、温かいものだった。
やがて話題は、叔父のことに移っていった。
彼女にとって叔父は、
ただの親戚ではなく、人生の支えのような存在だった。
「叔父は経済学者で、投資にも詳しいんです」
そう聞いたとき、
正直に言えば、少し驚いた。
だが同時に、
どこか納得している自分もいた。
これまでの会話の流れの中で、
彼女の話には一貫性があり、無理がなかったからだ。
「もしよければ、叔父に相談してみますか?」
その提案も、ごく自然な流れに感じられた。
押しつけるような言い方ではなかった。
あくまで、
「選択肢のひとつ」として提示された。
やり取りを重ねるうちに、
私は彼女のことを、
ただのSNSの知り合いとは思えなくなっていた。
恋愛感情ではない。
どちらかといえば、
信頼できる家族のような感覚に近かった。
そんな関係の中で、
投資の話が出てきた。
「今、金の相場がとても良いんです」
「叔父が見ていて、チャンスだと言っています」
それは、
これまでの会話の延長線上にあるように感じられた。
不自然さは、なかった。
むしろ、
「せっかく教えてくれるなら」
そんな気持ちの方が強かった。
今振り返れば、
この時すでに、
流れはできあがっていたのだと思う。
信頼。
安心感。
そして、少しの期待。
それらが重なり、
私は次の一歩へと進んでいくことになる。
第4話(前編)おわり
(後編)へつづく
