分かっていても止まれなかった理由
「おかしい」と思った瞬間は、確かにありました。
でも私は、その違和感にフタをしました。
なぜなら、ここまで信じてきた自分を否定するのが怖かったからです。
第14話では、人がどのように「信頼してしまうのか」を書きました。
そしてその先にあるのが――
「引き返せなくなる心理」です。
■ 小さな違和感は、最初からあった
最初から完璧に信じていたわけではありません。
・話が少し出来すぎている
・お金の話が急に出てくる
・やり取りのどこかに違和感がある
今思えば、いくつもサインはありました。
でも当時の私は、それをこう解釈していました。
「きっと自分の考えすぎだろう」
「疑うなんて相手に失礼だ」
こうして、違和感は見て見ぬふりをされていきます。
■ 投じたお金が判断を狂わせる
一度お金を払うと、人は変わります。
「ここでやめたら損になる」
「もう少しで取り戻せるかもしれない」
そう考えてしまうのです。
本当は、この時点で止まるべきでした。
しかし人は――
失ったものを取り戻そうとするほど、深みにハマる
この心理から逃れられません。
最後にお金を振り込む、その日の朝。
「これを振り込んだら、財産がほぼ無くなる」
そう分かっていました。
それでも――
振り込まなければ、お金は引き出せない。
何としても取り戻さなければならない。
その思いの方が、はるかに強かったのです。
■ 「自分は大丈夫」という思い込み
もう一つ大きかったのは、これです。
「自分だけは騙されない」
誰もがそう思っています。
私も例外ではありませんでした。
だからこそ、
・疑う自分を否定し
・相手を信じる理由を探し
・都合の悪い情報を無視する
そんな行動を無意識に繰り返していました。
■ 引き返すには“勇気”が必要だった
今なら分かります。
引き返すのに必要なのは「判断力」ではなく、
“勇気”でした。
・ここまでの時間を無駄にする勇気
・払ったお金を諦める勇気
・自分の間違いを認める勇気
これが、当時の私には足りませんでした。
■ なぜ人は止まれないのか
まとめると、人が引き返せなくなる理由は3つです。
- 小さな違和感を無視してしまう
- 投資したお金が判断を縛る
- 自分は大丈夫という思い込み
この3つが重なると、人は簡単に抜け出せなくなります。
■ 今だから伝えたいこと
もし今、
「少しおかしいかもしれない」
そう感じている人がいたら――
その感覚は、ほぼ正しいです。
そして、
「まだ大丈夫」と思っているうちに止まることが、何より大切です。
被害は、止まった瞬間にそれ以上は増えません。
■ 次回予告
では、なぜ詐欺師はここまで人の心理を操れるのか。
次回は――
「詐欺師はどのように人の心をコントロールするのか」
その手口の裏側を書いていきます。

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