第16話 「信じさせる技術」の正体

「信じさせる技術」の正体

ロマンス詐欺の裏側 ―

なぜ、あそこまで信じてしまったのか。

今振り返ると、偶然ではなかったと思います。
あの流れは、最初からどこか“出来すぎていた”からです。

第14話で「なぜ信じてしまうのか」
第15話で「なぜ引き返せなくなるのか」を書きました。

そして今はっきり思うのは――

私は、信じさせられていたのだということです。


■ 「話が合う」という安心感

最初に感じたのは、「この人、話が合うな」という感覚でした。

やり取りをしていても違和感がなくて、
むしろ「分かってくれる人だな」と感じていました。

過去の話をすれば共感してくれるし、
少し弱音を見せると、優しい言葉が返ってくる。

その積み重ねで、気づけば私は――
すっかり心を開いていました。


■ 「あなただけ」と言われたとき

やり取りが続くうちに、こんな言葉が増えていきました。

「あなたにだけ話している」
「こんなに話せる人はいない」

その言葉を聞いたとき、正直うれしかったのを覚えています。

特別に見られている。
そう感じると、人は疑うことが難しくなります。

今なら分かります。
あのとき私は――
疑えない状態に入っていたのだと思います。


■ 不安になったとき、必ず支えてくれた

順調だった流れの中で、突然トラブルの話が出てきました。

お金が引き出せない。
手続きに問題がある。

「どうしよう」と不安になると、
すぐにこう言われました。

「大丈夫、一緒に解決しよう」

その言葉に、何度も救われた気がしました。

でも振り返ると――
不安と安心を繰り返されていたのだと思います。


■ 考える時間がなかった

今思うと、一番大きかったのはこれです。

とにかく、急がされていました。

「今日中に必要」
「今やらないと間に合わない」

そう言われるたびに、
落ち着いて考える余裕がなくなっていきました。

そして最後には、

「やるしかない」

そう思い込んでいました。


■ 振り返って気づいたこと

すべてが終わってから、やっと見えてきました。

・最初に安心させる
・特別だと思わせる
・不安にさせる
・急がせる

この流れが、ずっと続いていたことに。

当時は気づきませんでしたが、
あれは一つひとつが繋がっていたのだと思います。


■ これは他人事ではない

今なら冷静に見えます。

でもあのときの自分に、同じことを言っても、
きっと信じなかったと思います。

それくらい、自然に入り込んでくるものです。

だからこそ――
これは特別な話ではないと思っています。


■ 次回予告

では、なぜそのとき気づけなかったのか。

違和感はあったはずなのに、
なぜ最後まで信じてしまったのか。

次回は――
「なぜ気づけなかったのか」

自分なりに整理してみようと思います。

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