カテゴリー: 体験記

  • 第7話(後編)これが詐欺の手口か

    第7話(後編)これが詐欺の手口か

    崩壊の瞬間 ―「お金を返してくれ」

    ※本記事は実際に私が経験した投資詐欺の記録です。被害防止のために公開しています。

    もう限界でした。


    「あと少しで戻る」

    そう言われ続けて、

    どれだけのお金を支払ったのか。


    それでも、

    お金は一度も戻ってこなかった。


    そして最後に提示された、

    〇〇〇万円一般的なかんかくでは大きすぎる金額。


    ここで、ようやく

    すべてを理解しました。


    これは投資ではない。


    詐欺だ。


    私は、

    初めて止まる決断をしました。


    送ったメールは、

    短いものでした。


    「引き出しを中止します。少額にします。」


    「大口引き出しを大至急、中止する。
    他の大口決済システムは利用しない。」


    そして最後に、


    「お金を返してくれ!」


    これが、

    私の最後の言葉でした。


    しかし、

    返事はありませんでした。


    その瞬間、

    すべてが終わりました。


    取り戻せるはずだったお金は、

    もう戻ってこない。


    そう認めるしかありませんでした。


    悔しさと、

    虚しさだけが残りました。


    これが、

    私の体験の結末です。

    第7話(後編)終わり
    第8話に続く

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  • 第7話(前編)これが詐欺の手口か

    第7話(前編)これが詐欺の手口か

    崩れ始めた心 ―「信じたい気持ち」

    ※本記事は実際に私が経験した投資詐欺の記録です。被害防止のために公開しています。

    頭では、

    分かり始めていました。


    これは、

    普通ではない。


    しかし、

    気持ちは追いつきませんでした。


    ここまで支払ったお金。


    簡単に諦められる金額ではありません。


    「あと少しで戻るかもしれない」


    その思いが、

    何度も頭をよぎります。


    相手は、

    専門用語を並べて説明してきます。


    SWIFT
    マネーロンダリング対策
    国際規制


    一見すると、

    もっともらしい話に聞こえる。


    しかし、

    冷静に考えれば、

    どこかおかしい。


    それでも、

    完全には疑いきれない。


    信じたい気持ちと、

    疑う気持ち。


    その間で、

    心は揺れ続けていました。


    第7話(前編)おわり
       (後編)へ続く

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  • 第6話 後編

    第6話 後編

    違和感と疑念② ―「崩れ始める現実」

    ※本記事は実際に私が経験した投資詐欺の記録です。被害防止のために公開しています。

    違和感は、

    確信に変わり始めました。


    「すでに送金した」

    そう書かれたメールが届きます。


    金額は、

    〇〇〇万円を超える一般的な感覚では大きすぎる金額でした


    しかし、

    いくら待っても

    銀行口座に入金されることはありませんでした。


    さらに届いた連絡。


    「送金は失敗した」


    理由は、

    国際送金の問題。


    そして、

    次に提示されたのが――


    〇〇〇万円の手数料一般的な感覚では大きすぎる金額


    ここで、ようやく理解しました。


    これまでのすべてが、

    同じ構造だったことに。


    支払う
    → 終わらない
    → また請求される


    この繰り返し。


    そして気づきます。


    「これは終わらない」


    ここで止めなければ、

    本当にすべてを失う。


    そう思いながらも、

    すぐには動けませんでした。


    ここまで支払ったお金。


    取り戻したいという気持ちが、

    どうしても消えなかったからです。

    諦めるわけにはいきません。


    第6話(後編)おわり
    第7話へ続く

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  • 第6話 前編

    第6話 前編

    違和感と疑念① ―「何かがおかしい」

    ※本記事は実際に私が経験した投資詐欺の記録です。被害防止のために公開しています。

    口座の数字は増えている。

    それなのに、

    お金は引き出せない。


    最初は、

    単なる手続きの問題だと思っていました。


    「検証が必要」
    「資金の確認が必要」


    そう言われれば、

    仕方ないと思ってしまう。


    しかし、

    次第に違和感が積み重なっていきました。


    何度もお金を振り込んでいるのに、

    出金は一度もできていない。


    そのたびに、

    新しい理由が出てくる。


    そして、ある時届いたメール。


    「税金を支払う必要がある」


    金額は、

    常識では考えられない金額。


    一瞬、何が起きているのか分かりませんでした。


    税金は、

    証券会社に払うものなのか?


    なぜ、

    出金の条件になるのか?


    この頃から、

    心のどこかで感じ始めていました。


    「これは、おかしい」


    第6話(前編)おわり
       (後編)へ続く

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  • 第5話 (後編)

    第5話 (後編)

    引き返せなくなった追加投資

    追加の資金を入れる手続きは、

    これまでと同じだった。

    LINEで送られてくる指示に従い、

    振込を行う。

    それだけだった。


    今回、振り込みについては、

    証券会社の「担当者」とされる人物から、

    LINEで直接指示が来た。


    送られてきたのは、

    日本の銀行口座だった。

    しかも、

    法人名ではなく「個人名」の口座。

    口座番号と名義が、そのまま記載されていた。


    「即日での振り込みをお願いします」

    とも書かれていた。


    その時、

    一瞬だけ、違和感がよぎった。


    「証券会社なのに、個人口座なのか?」


    だが、

    それ以上深く考えることはなかった。

    これまでの流れが、

    その違和感を押し流していた。


    振り込みを終えたあと、

    私はふと、あることを思った。


    「本当に出金できるのだろうか」


    試しに、

    数十万円の出金を依頼してみた。


    すると、

    こう返ってきた。


    「高額の出金は手続きに時間がかかります」

    「少額であれば即日対応できます」


    そこで、

    数万円の出金を依頼した。


    すると、

    本当にその日のうちに、

    指定した口座へ入金があった。


    その瞬間、

    私の中の疑いは、ほとんど消えた。


    「ちゃんと出金できる」


    この事実が、

    すべてを正当化してしまった。


    今振り返れば、

    あれは「信用させるための演出」だったのだと思う。


    入金が確認されると、

    すぐに取引が始まった。

    叔父からの指示。

    それに従って操作を進める。


    結果は、

    これまでと同じだった。

    利益が出た。


    画面に表示される数字は、

    確実に増えていた。

    その事実が、

    すべての疑いを消していく。


    その頃、彼女自身も投資をしていた。

    「今日は2万ドルのプラスでした」

    そんなメッセージが、何気なく送られてくる。


    正直、驚いた。

    同時に、

    「すごいな」と思った。


    そして彼女は、こう続ける。

    「あなたは今日はどうでしたか?」


    私は、自分の結果を伝える。

    すると、

    「いいですね」
    「順調ですね」

    と返ってくる。


    そのやり取りが、

    いつの間にか日常になっていた。


    今振り返れば、

    あれは完全に“煽られていた”のだと思う。

    比較されることで、

    もっと利益を出したいと思う。

    遅れたくないと思う。


    気づかないうちに、

    私は競争の中に引き込まれていた。


    この時すでに、

    私は「投資」ではなく、

    「競争」をしていたのかもしれない。


    「やっぱり大丈夫だ」

    そう思った。

    いや、

    そう思いたかったのかもしれない。


    彼女からも連絡が来る。

    「良かったですね」

    「これで安心ですね」


    その言葉を見て、

    私は完全に信じていた。


    だが、

    この時すでに、

    状況は次の段階へ進んでいた。


    一度資金を増やしたことで、

    ハードルは大きく下がっていた。

    「もう一度くらいなら」

    そんな気持ちが、

    自然に生まれてくる。


    人は、

    一度成功体験を得ると、

    その流れを繰り返そうとする。

    それが、

    冷静な判断を鈍らせる。


    そして、

    そのタイミングを狙うように、

    さらなる提案が来る。


    「次はもっと大きく狙えます」


    この言葉が、

    決定的な一歩へとつながっていく。


    この時の私はまだ、

    自分がどこに向かっているのか、

    まったく分かっていなかった。


    だが確実に、

    引き返せない流れの中に入っていた。

    第5話(後編)おわり
    第6話へ続く

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  • 第5話 (前編)

    第5話 (前編)

    引き返せなくなった追加投資

    ※本記事は実際に私が経験した投資詐欺の記録です。被害防止のために公開しています。

    「もう少し資金を増やせば、さらに利益が出ます」

    叔父からのその言葉は、

    ごく自然な提案のように聞こえた。

    これまでの取引は順調だった。

    指示通りに動けば利益が出る。

    その実績が、

    私の判断を大きく変えていた。


    「今はチャンスです」

    「資金が多いほど、有利になります」

    そう言われると、

    確かにその通りだと思えた。


    正直に言えば、

    迷いはあった。

    金額が大きくなることへの不安。

    本当に大丈夫なのかという疑問。


    だが、その一方で、

    別の感情も強くなっていた。

    「ここでやめるのは、もったいない」


    これまで積み上げてきた利益。

    ここでさらに伸ばせるかもしれないという期待。

    そして何より、

    ここまで導いてくれた彼女と叔父への信頼。


    そのすべてが、

    私の背中を押していた。


    彼女からもメッセージが届く。

    「無理はしないでくださいね」

    「でも、今回のチャンスは良いと思います」

    その言葉は、

    決して強引ではなかった。

    むしろ、

    私の気持ちを尊重してくれているように感じた。


    だからこそ、

    私は安心してしまった。


    「少しだけ増やそう」

    そう決めた。


    この時の私は、

    まだ冷静な判断をしているつもりだった。

    だが実際には、

    すでに判断は大きく偏っていたのだと思う。


    違和感はあった。

    それでも私は、

    その違和感よりも、

    期待の方を選んでしまった。

    第5話(前編)おわり
       (後編)へ続く

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  • 第4話 (後編)

    第4話 (後編)

    香港在住の女性の身の上話と投資の誘い

    ※本記事は実際に私が経験した投資詐欺の記録です。被害防止のために公開しています。

    叔父とのやり取りは、

    思っていた以上にスムーズに始まった。

    LINEで紹介され、

    そのまま直接連絡を取る形になった。


    「はじめまして」

    丁寧な挨拶から始まり、

    投資についての説明が続いた。

    金相場の動き。
    今後の見通し。
    取引の方法。

    どれも具体的で、

    素人の私にも分かるように説明してくれた。


    「MT5というアプリを使います」

    そう言われ、

    指示通りに準備を進めた。

    口座の開設。
    アプリのインストール。
    初期設定。

    すべて、

    LINEのやり取りの中で完結していった。


    この時点で、

    違和感がまったくなかったわけではない。

    だが、

    それを深く考えることはなかった。


    彼女は相変わらず優しかった。

    日常の話をしながら、

    ときどき投資のことも気にかけてくれる。

    「無理しないでくださいね」
    「分からないことがあれば聞いてください」

    そんな言葉が、

    不安を和らげてくれた。


    叔父の指示に従って取引を始めると、

    結果はすぐに現れた。

    利益が出たのだ。

    それも、

    予想以上にスムーズに。


    「すごいですね」

    彼女からのメッセージが届く。

    「やっぱり叔父はすごい人です」

    その言葉を見て、

    私は完全に安心していた。


    疑う理由は、

    もうどこにもなかった。


    だが、

    ここから流れは大きく変わっていく。

    「もう少し資金を増やせば、さらに利益が出ます」

    その一言が、

    新たな段階の始まりだった。


    この時の私は、

    それをチャンスだと思っていた。

    だが実際には、

    それは

    引き返せなくなる入り口だったのかもしれない。

    第4話(後編)おわり
    第5話へつづく

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  • 第4話 (前編)

    第4話 (前編)

    香港在住の女性の身の上話と投資の誘い

    ※本記事は実際に私が経験した投資詐欺の記録です。被害防止のために公開しています。

    彼女は、よく自分の家族の話をしてくれた。

    香港での生活。
    母親との関係。
    そして、これからの将来のこと。

    特に印象に残っているのは、

    「母と一緒に暮らしたいんです」

    という言葉だった。

    仕事が忙しく、なかなか時間が取れないこと。
    それでも、いつか母親を大切にしたいと思っていること。

    その話は、とても自然で、温かいものだった。


    やがて話題は、叔父のことに移っていった。

    彼女にとって叔父は、

    ただの親戚ではなく、人生の支えのような存在だった。

    「叔父は経済学者で、投資にも詳しいんです」

    そう聞いたとき、

    正直に言えば、少し驚いた。

    だが同時に、

    どこか納得している自分もいた。

    これまでの会話の流れの中で、

    彼女の話には一貫性があり、無理がなかったからだ。


    「もしよければ、叔父に相談してみますか?」

    その提案も、ごく自然な流れに感じられた。

    押しつけるような言い方ではなかった。

    あくまで、

    「選択肢のひとつ」として提示された。


    やり取りを重ねるうちに、

    私は彼女のことを、

    ただのSNSの知り合いとは思えなくなっていた。

    恋愛感情ではない。

    どちらかといえば、

    信頼できる家族のような感覚に近かった。


    そんな関係の中で、

    投資の話が出てきた。

    「今、金の相場がとても良いんです」

    「叔父が見ていて、チャンスだと言っています」

    それは、

    これまでの会話の延長線上にあるように感じられた。

    不自然さは、なかった。


    むしろ、

    「せっかく教えてくれるなら」

    そんな気持ちの方が強かった。


    今振り返れば、

    この時すでに、

    流れはできあがっていたのだと思う。

    信頼。
    安心感。
    そして、少しの期待。

    それらが重なり、

    私は次の一歩へと進んでいくことになる。

    第4話(前編)おわり
       (後編)へつづく

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  • 第3話 (後編)LINEへの誘導

    第3話 (後編)LINEへの誘導

    LINEでのやり取りが続く中で、相手はさまざまなものを送ってきました。

    自分の写真。
    友人と一緒に写っている写真。
    職場の様子だという写真。

    どれも自然で、疑うような印象はありませんでした。
    見た目も整った、いわゆる美形の女性でした。


    今思えば、恋愛感情があったわけではないと思います。

    ただ、それでも私はこのやり取りを
    妻に話すことはありませんでした。

    どこか後ろめたい気持ちがあったのだと思います。


    やがて、相手の叔父だという人物とも
    LINEでやり取りをするようになりました。

    その叔父は、中国・北京に住む著名な経済学者だと聞いていました。

    実際にやり取りをしてみると、
    とても丁寧で落ち着いた印象の人物でした。


    その叔父から、投資についての話が出てきました。

    MT5という取引アプリを使った、金相場の売買です。

    相場の見方やタイミングについても説明があり、
    実際に指示された通りに取引を行うと、

    不思議なほど、結果が出ているように見えました。


    その日の取引結果は、香港の女性と共有していました。

    「今日は良かったですね」
    そんなやり取りをしながら、私は満足感を感じていました。


    その時、私は思っていました。

    「さすが経済学者だ。やはり違う」

    完全に信じてしまっていたのです。


    しかし、今思えばそれは
    すべて用意されたものだったのだと思います。


    しばらくすると、こんな話が出てきました。

    「これから金相場に大きな波が来る」

    そして、その波に乗るためには

    「50万ドルが必要」

    だと言われました。


    私は、その話を信じてしまいました。

    そして「何とかしてお金を用意しなければ」と考えるようになっていきました。


    今振り返ると、
    ここが大きな分かれ道だったのだと思います。


    結果的に、私は家を売ることはありませんでした。

    それだけは、本当に救いだったと思っています。


    しかしこの時すでに、
    私は深く入り込んでしまっていました。

    そしてこの後、さらに状況は進んでいくことになります。

    第3話(後編)おわり
    第4話(前編)につづく

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  • 第3話 LINEへの誘導(前編)

    第3話 LINEへの誘導(前編)

    Facebookでのやり取りが続く中で、ある日、こんな提案がありました。

    「LINEで話しませんか?」

    特に不自然には感じませんでした。
    むしろ、その方がやり取りしやすいと思い、私は自然に受け入れてしまいました。
    Facebookよりも気軽で、よく使っているアプリだったこともあり、私は特に警戒することはありませんでした。

    こうして、やり取りの場所はLINEへと移りました。


    LINEでは、それまで以上にやり取りが増えていきました。

    日常の話。
    仕事の話。
    食事や生活のこと。

    何気ない会話が続き、少しずつ距離が近づいていくような感覚がありました。


    相手は、自分のことをいろいろと話してくれました。

    日本に住む母親が高齢であること。
    そのため、いずれ日本に戻って一緒に暮らしたいと考えていること。

    また、中国・北京に住む叔父の話も出てきました。

    その叔父は著名な経済学者で、日本での生活について
    「あなたに手助けしてほしい」と言っている、そんな話でした。


    こうした話を聞くうちに、私は次第に相手に対して親しみを感じるようになっていきました。

    相手の年齢は、はっきりとは知りません。
    おそらく20代後半から30代半ばくらいだったと思います。

    聞けば分かったのかもしれませんが、当時の私は深く気にしていませんでした。


    あるとき、年齢の話になりました。

    私の方が年上であることを伝えると、
    相手は「兄のように思っている」と言うようになりました。

    それ以降、会話の中でもそのような距離感で接してくるようになりました。


    今振り返ると、この時すでに
    「信頼関係を作る段階」が進んでいたのだと思います。

    しかし当時の私は、そのことに気づくことはありませんでした。

    すなわち、この時点では、まだ疑う理由はほとんどありませんでした。

    第3話(前編)おわり
       (後編)につづく

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